人手不足を前提に、増員増収の仕組みを追求する
(第233話)人手不足を前提に、増員増収の仕組みを追求する
人が増えれば、売上を伸ばせると足し算で結論を出すのは成長が止まる会社
人が増えれば、利益を伸ばせると掛け算で把握できるのが成長し続ける会社
1×1=3
算数の式としては間違っていますが、会社の成長過程において、経営者はこの数式を意識する必要があります。
社員を一人増やすケースで、既存の社員Aさんと新規に採用する社員Bさんの力をそれぞれ1だと仮定します。
AさんとBさんがまったく別の仕事をする場合、二人が寄与する会社の価値は、普通
1+1=2
となります。
けれども、AさんとBさんが同じような仕事をする場合
1×1=1
のように、人を増員したにも関わらず、会社の価値は1人の時と変わらないということがあります。
また、時にはAさんとBさんの相性が悪くて
1×1=0.5
のように、人を増やしたのに、かえって価値が減るというケースもあります。
会社経営の観点からは、少なくとも
1×1=2
は確保したいところです。
そして、できれば、相乗効果として
1×1=3
を目指していきたいところです。
では、一人社員を増やした時に、その人が本来持っている価値以上の効果を会社にもたらすためには何が必要なのでしょうか?
実は、先日もクライアントさんとのセッションの中で、「社員を増やしたら、本当に売上が上がるのか?」ということが、議題に上りました。
単純に考えれば、1人営業の社員を増やしたら、その分、売上が上がる可能性があります。
けれども、増えた人件費を勘案した利益ベースで考えた時に、1人増員することで、かえって利益が減る恐れがあります。
当然のことながら、新しく入った人がすぐに仕事に慣れて売上に貢献できるとは限りません。一定期間、社内で教育する必要があります。
また、営業の仕組みが会社として確立しておらず、各営業担当の属人的なやり方に任されている場合。よほど営業センスがある人でないと、期待している以上の結果を残せないのが普通です。
つまり、会社として
‐社員の教育方針や教育方法
‐仕事の中味とプロセスの見える化
がある程度できていないと、社員を増やした結果、かえって利益が減ることが起こりえます。
新しい事業をゼロから始める際に社員を増やす場合は
1+1=2
の発想に基づき、人を増やすことで、売上と利益を伸ばすことは可能です。
一方で、既存の事業を拡大する時に社員を増やす際には
1×1=0.5
とならないかを必ずチェックする必要があります。
クライアントさんとのセッションでは、「社員を増やしたら、売上はもっと上がる可能性はあるが、その前に、現行の業容でもう少し効果の上がる方法はないか」を再度検討することになりました。
人手不足の問題もあり、中小企業ではなかなか良い人材を確保できないという現状があります。
しかし、このことは視点を変えれば、今の体制でもっと収益を改善できる方法はないかを見つけるチャンスでもあります。
1×1=3
今は非常識ですが、これが実際の業務と結びついてイメージできるようになれば、大きく飛躍できる可能性ありです。
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