社員が育たないのは、会社の構造自体に課題あり
(第229話)社員が育たないのは、会社の構造自体に課題あり
社員の成長を本人の奮闘努力に依存するのは成長が止まる会社
社員の成長を会社の環境作りに組み込むのが成長し続ける会社
点ではなく、構造として捉える。
最近私が特に意識していることです。
例えば、「社員が育たない」という課題があった時。
もちろん、いくら教えても、なかなか成果が出ないという社員の属人的な問題というケースがあります。
一方で、社員はその仕事は好きだし、やる気もある。
けれども、思うように育っていないということも少なくありません。
また、社長が「社員は育たない」という時に、担当者としてよくやっているのでOKだが、管理職としては物足りないので、NGということがあります。
このような場合、その社員にヒアリングしてみると、「管理職として、また、リーダーとして、求められていることがよく分からない」ということが多分にあります。
したがって、社員のAさんが育たないという事象の裏には、社員のBさんも、また別の社員であるCさんも育っていないという構造的な問題として捉えないと、なかなか課題解決につながらないのです。
大企業と中小企業で比較した場合に、仕事の面から見たら、人の能力に差はありません。
しかしながら、やはり大企業では社員数が多いだけに、手本となるべき人がたくさんいるというのは、構造的に言えます。
これを学ぶ側からすれば、
- Dさんは性格は悪いけれど、技術に関してはすごい
- Eさんはマネジメント能力は低いが、営業をやらせたら抜群だ
- Fさんは仕事は今一つだけど、人間性は素晴らしい
というように、いろいろな手本が身近にいるため、D、E、Fさんのいいとこ取りををすれば、技術力もあり、営業成績も良く、人望も厚い理想的なモデルを目指すことが可能です。
つまり、大企業では、一人の人をモデリングしなくても、複数の人を組合わせてお手本にするという環境が生れやすいと言えます。
この点、中小企業は人材育成という点では人数が少ないので、構造的に不利です。
また、良きにつけ、悪きにつけ、中小企業では社長の影響力が大きいので、社長の負の側面が社員の成長という点に、少なからず影響を及ぼします。
したがって、中小企業では、大企業よりも、社員が育つ環境を意識的に作ることがより一層求められます。
その際のポイントは5つ。
1.経営理念等を通して会社としての判断基準を示す
2.丸投げするのではなく、しっかり見守る
3.甘やかし過ぎずに、叱るべき時には叱る
4.社員一人ひとりに、機会を与える
5.タテだけなく、ヨコのつながりを作る
会社としての方針も示さず、できる社員に丸投げするだけで、問題が起きても、うやむやにしてしまう。
そのような職場環境では、社員が育たないのは当たり前。
人は人の背中を見て育ちますが、見せるべき背中が少ない場合は、構造的に作っていくしかありません。
結果的に社員が育つかどうかは、本人次第のところがあります。
けれども、最低限、会社は社員が育つ環境を用意する責務があるのです。
あなたの会社では、社員が育つ環境を意識しているでしょうか?
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