資金繰り表のポイント|経営者が苦手な資金繰り表のポイントを解説

資金繰り表のポイント

資金繰り表のポイント|資金繰り表を克服するポイントとは?

資金繰り表で会社の未来を先取りし、安心感を得ましょう

経営者が安心感を得られない要因の一つが資金繰りが安定しないことです。

資金繰りを安定させるためには、まず資金繰りを把握することが大事です。

そして、資金繰りを把握するためのツールが資金繰り表

このページでは経営者が安心感を得るために必要なツールである
資金繰り表のポイントについて解説しています。

資金繰り表が先、B/S、P/Lは後で、会社の未来を一歩先取りせよ

(「超キャッシュフロー経営」実現のための100の実践チェックリストNo.26)

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資金繰り表はおこづかい帳をひとひねり

資金繰り表はおこづかい帳と同じ

あなたは子供の頃いわゆるおこづかい帳をつけられた事はあるでしょうか。


私は小学校4年生まで和歌山との県境に近い大阪の田舎に住んでいました。

たしか小学校の2年生か3年生の時だったと思いますが、
最寄りの駅(といっても自宅からバスに乗って20分ほどかかりましたが)に
初めて銀行の支店ができました。


その時、頒布品としてもらったのがおこづかい帳。

それ以来小学生の間はおこづかい帳をつけていました。


おこづかい帳は

・昨日の残高:A

・入金:B

・出金:C

・今日の残高:D

があってA+B-Cを計算することで、
今日の残高Dが分るようになっています。

そして、今月末の残高がまた翌月初めの残高となって
次の月に続いていくという訳です。


入金のところは毎月もらうおこづかいや年1回のお年玉が中心。
親戚の人が遊びに来た時にはちょっと臨時収入もあるかもしれません。

出金の項目にはマンガやお菓子が並びます。

ちょっと高価なおもちゃを買うために2~3ヶ月頑張ってお金を貯めた
という思い出のある方も多いのではないでしょうか。


資金繰り表もいろいろな項目が書かれていますが、

構造的にはおこづかい帳とほとんど同じ

です。


入金は主に毎月の売上、
出金は原材料の仕入れや従業員の給料、事務所の家賃などなど。

おこづかい帳に比べて種類も多く、やや複雑かもしれませんが、

毎月D=A+B-Cの足し算、引き算を繰り返している

ことに変わりはありません。


では、小学生がつけているおこづかい帳と本質的な部分ではさほど変わらない
資金繰り表を作ろうとする際、多くの人が悩んだり、困ったりしているのは
なぜでしょうか?


資金繰り表作成にあたって、最初につまずくポイントは3つあります。

  1. 勘定科目の理解
  2. 利益とキャッシュとの違い
  3. 計上時期とのタイミングのずれ



資金繰り表はきっちりか、それともざっくりか

勘定科目の理解はざっくりと

まず、最初の勘定科目の理解の部分です。


売上高、当期利益、預金、商品、借入金ぐらいは問題なくても、
売掛金や買掛金、未払金や未収金ぐらいになると、少しづつ怪しくなってきます。


ましてや、

・交際費と会議費の違いは何か

・昨日の支出はどっちに計上すべきなのか

といった問題になってくると、正確に答えられる人は意外と少ない
のではないでしょうか。


先の売掛金と買掛金、未払金や未収金というペアで考えると
比較的理解しやすいかもしれません。

しかし、「売掛金と未収金、買掛金と未払金の違いは?」となると
答えに窮するかもしれませんね。


これら勘定科目の違いは経理担当者や税理士の先生にとっては大きな違いとなり、
厳密に区別すべきとなるかもしれません。


けれども、

経営者が資金繰りを見る上ではさほど神経質にならなくても良い

というケースが多いのです。


交際費として100万円使おうが、会議費として100万円使おうが、
会社から出ていくお金は同じ100万円です。


もちろん、
決算で課税所得を計算する際には交際費と会議費の違いは考慮すべきですが、
今月使った100万円はキャッシュフローとしては月末時点で同じ、「-100万円」です。


従来、資金繰り表を作る際に、どうしても制度会計である決算や
税務申告を行うための仕訳をベースにスタートするために
かえって複雑で分りにくくなっているところがあります。


先の交際費と会議費の違いや、売掛金と未収金との違いのように
大きな資金繰りとして見た場合、

あまり大差のないものを同じグループとして考えると、
資金繰り表を作る際にもっと簡略化できる

はずです。


資金繰り表で「お金」の奥義を極める

次に利益とキャッシュとの違いがあります。


従来の会計は利益およびそれに伴う税金を中心に考えてきたため、

いかにして利益を上げるか

または、

(節税のために)利益をいかに抑えるか

を重視してきました。


例えば、5,000万円の工作機械を購入した場合、
資金繰りとしては「-5,000万円」です。


一方、会計としては年間の減価償却費を500万円とすると、

・費用(減価償却費)=500万円

・固定資産=4,500万円(=5,000万円-500万円)

となります。


したがって、決算上の数字だけ見ていると、
実際には会社から5,000万円のお金が出ていっているのに、
500万円だけの出費で済んだように錯覚しがちです。


また、3,000万円の原材料を使って商品を100個作ったとします。

期初の在庫を0個、期中に70個売れて、期末に30個の在庫が残ったとします。


すると、3,000万円は、

・費用(売上原価)=2,100万円(=3,000万円×70/100)

・資産(商品)=900万円(=3,000万円×30/100)

となります。


この場合、会社から原材料費として3,000万円支出されているにも関わらず、
費用として計上されるのはその一部に留まっています


このように会社の売上や費用、およびそれに伴う結果としての
利益とキャッシュとの間にはどうしてもギャップが生れます


このあたり、経理や会計に詳しい人であれば、
なんてことのないことなのかもしれません。


けれども、経理はちょっと苦手という方にとっては、
試算表や、損益計算書・貸借対照表をもとに資金繰り表を作れと言われても
少し時間がかかるかもしれませんね。


しかし、いずれにしても、

資金繰りの場合あくまで大事なのはキャッシュ

です。


資金繰りで大事なのはお金

工作機械のケースで言えば、手元に4,500万円の現金があるのと、
4,500万円で計上されている機械があるのでは大きな違いです。


現金や預金の場合、使おうと思えばすぐに使えます。

しかし、機械の場合、
もちろん商品を製造するという大変重要な役目があるものの、
それを換金して使うことはけっして簡単なことではありません。


したがって、その機械が生み出す商品が会社の収益に貢献できるかどうかが
ポイントになってきます。


商品(在庫)の場合も同じような問題があります。


在庫と費用との関係で言うと、同じ3,000万円を使って商品を作っても
商品が売れずに在庫として売れ残れば残るほど、(費用が少なくなって、)
表面的には利益が上がるという一種のゆがみが生じています。


したがって、商品を作って利益が出て一安心と思っていざ蓋を開けてみると、
実は不良在庫が山のようにあり、その後の資金繰りは・・・
という事態にならないよう充分に注意が必要です。


資金繰り表では「時間」のずれを見逃さない

3番目に、計上時期と入金や支払とのタイミングのずれの問題があります。


この問題は一般に市販されている会計ソフトではなかなか対応しきれない点であり、
資金繰りを把握していく上でも絶対に外せないポイントです。


各会社ではそれぞれ売上や収益の目標があります。

今月の目標に対して、売上で1,000万円が足りないとか、
外注費があと500万円安くなれば利益が出るということで、
皆様も日々努力されていることと思います。


そして、月末ギリギリになって、6,000万円の受注が取れたため、
今月はめでたく、売上の目標を達成したとしましょう。

会社としては予算以上の数字をあげたため、◎です。


では、この事例を資金繰りの観点から見た場合はどうでしょうか。

仮に営業担当者が目標を達成するために、
先方の提示を呑んで売上の支払は6ヶ月後という条件で
受注したとします。

すなわち、会社にお金が入ってくるのは半年後という訳です。


ここで話を簡単にするために、
6,000万円は会社の期末に全額利益として計上できたものとし、
この6,000万円の案件以外の収支はプラスマイナス0とします。

つまり、この会社の税引き前利益は6,000万円になるという訳です。


税率を40%とすると、
この会社は期末から2ヶ月以内に税金2,400万円(=6,000万円×40%)を
支払わなければなりません。


一方、6,000万円が入ってくるのは6ヶ月後。

したがって、資金繰り的に見た場合は支出が先行するため、
会社としては何らかの形で資金手当てをする必要が出てくるのです。


もちろん、手元に2,400万円以上のお金があり、
全く問題ないという会社も多いと思います。

しかし、私が今まで1,000社以上の資金繰りを見てきた経験からすると、
このあたりの資金繰りは意外と盲点になっています。


決算の数字が固まり、顧問税理士から納税額を聞いて慌てて
資金繰りに駆けずり回ったというご経験のある方も
おられるのではないでしょうか。


前述のケースは話を非常に単純化するため、税金の問題を取り上げました。


売掛金はいつ入金されるのか?

けれども、実際には6,000万円の売上を上げるために原材料を購入したり、
製造費用がかかったりするため、いろいろと支払が先行して発生します。

したがって、せっかく社員が頑張って売上を上げたのに、
入金や支払のタイミングをきちんと把握していないと、
結果的にお金が足りなくなって頑張った社員の給料が払えなくなる
というように笑うに笑えない事態が起こってしまう恐れもあるのです。


つまり、会計上は同じ売掛金6,000万円であっても、その

入金日が1ヶ月後なのか、6ヶ月後なのかでは資金繰りとしては雲泥の差

があります。
社員の意識で資金繰りも大きく変わります。

この部分は資金繰りを考える上できちんと把握してしっかり対応すべきポイントです。


社長や経理担当者だけでなく営業担当者や技術部門も含めた
全社員が意識を持って取組むかどうかによって
資金繰りは大きく変わってくるのです


お金を借りる資金繰り表 VS お金を返せる資金繰り表

では、資金繰り表で最初につまづく3つのポイントを
何らの方法を使って問題点をクリアできた場合、
資金繰り表は簡単に作成できるでしょうか。

答えは会社がどのような資金繰り表を作りたいかによると思います。


私は資金繰り表は大きく分けて2種類あると考えています。


一つは

お金を調達するための資金繰り表

であり、もう一つは、

お金を返済するための資金繰り表

です。


これは資金繰り表のオモテの顔とウラの顔と言っていいかもしれません。


本来資金繰り表は一つであるべきであり、

資金調達用資金繰り表=資金返済用資金繰り表

でなければいけません。


しかし、現実問題はどうでしょうか?


銀行に融資を申込んだ際、決算書の他に会社の資料の一つとして
資金繰り表の提出を求められることと思います。


その際、

・1月には資金ショートする見込みなので、仕入資金として1,000万円を借入したい。

・3月から商品を販売するので、4月以降100万円ずつ10回で返済したい。

というような計画に基づき、資金繰り表を作成する訳です。


この場合、1月には資金が足りなくなり、
商品を販売するための仕入資金が不足するのは事実であるとします。

(中には資金使途を偽ってお金を借りようとする会社もありますが、
ここではそのような会社は対象外とします。)


予想通りいかないのが資金繰り

問題は3月から販売する商品が予定通り売れるか、どうかです。


もちろん中には取引先からきちんと受注書をもらっていて、
商品が確実に売れること、売掛金もしっかりと回収できること
が決まっている場合もあると思います。

この場合は銀行もキャッシュフローがはっきりしているので、
さほど問題なく、お金が借りられると思います。


しかし、多くの場合、会社の希望的観測を盛り込んで、

「3月から絶対に売れるはずだ!」

「4月以降の入金についても(たぶん)問題ない・・・。」

という計画に基づいて資金繰り表を作成しているはずです。


資金繰り表で連立方程式を解きましょう

先に資金繰り表はおこづかい帳と同じ構造なので、
基本的には足し算、引き算でなっているというお話をしました。


しかし、実は個々の数字の裏側には実に複雑な要素がからみあっています。

  • 市場の動向
  • 消費者のニーズ
  • 競合他社の動き
  • 為替の変動
  • 天候や寒暖の差 ・・・などなど。



資金繰り表の中で、出金に関係するところはある程度精緻に作ることができますが、
入金、特に売上に関する数字は、連立方程式を解いて答えを出すようなもの。

そして、この方程式を解くのはけっして簡単なことではありません。


したがって、資金繰り表を作成する上で一番難しいのは、
勘定科目の理解でも、利益とキャッシュとの違いでも、
計上時期とのタイミングのずれの問題でもありません。


一番難しいのは、

資金繰りの見込みを作る上での連立方程式を会社内で作成し、検証できる仕組み

があるかという点です。


資金繰り表で借りた後の覚悟を決める

先にお金を調達するための資金繰り表と、
お金を返済するための資金繰り表ということを申し上げました。


けれど、実は前者を作ることはさほど難しいことではありません。

最初につまづくポイントさえ克服できれば、
自社の考えたシナリオに沿って、
いわば鉛筆を舐めて数字を入れていくことも
現実としては可能であるからです。


つまり、連立方程式をきちんと解くことなく、
適当な数字をベースにして資金繰り表を作成することもできる訳です。


銀行員がそれを見抜けずに、
もしくは、担保が充分にあるためにあまりよく調査しないで、
結果的に融資がOKになるというケースもあるかもしれません。


しかし、この場合、問題は資金調達した後

営業やマーケティングが上手くいって、
数字の予想通りに商品が売れ、結果オーライという
ラッキーな場合もあるかと思います。


実際、以前の高度経済成長の時代やバブルの時期といった
いわゆる右肩上がりの時は結果オーライのケースも多かった
のではないでしょうか。


けれども、今や時代は大きく異なります。

良い商品やサービスであってもなかなか売れない時代

仮に売れたとしても、大幅な値引きをせざるを得なかったり、
販促に思った以上のコストがかかったりして、
予想の売上目標や収益見込は大幅未達という事例もよく聞きます。


このため、

会社の中でどのくらいしっかりと計画を立て、実行し、
その検証を踏まえて再度軌道修正を図っていけるか

によって、結果は大きく異なってきます。

  
そして、資金繰り表を作成する際にも、
社内でしっかりと数字をもんだ上で作成しないと、
借りたは良いが、すぐに返済に窮するという事態にもなりかねません。


資金繰り表を使ってPDCAサイクルを毎月回す

お金を返済するための資金繰り表は一長一短でできるものではありません。


最低でも

月に1度は社内で数字と真正面から向き合う体制

が必要になってきます。


しかも、入試問題の数学と違い、
資金繰り表を作る上での連立方程式の正解は一つとは限りません。

前年度までは正解だったことが、
今年度は不正解ということも充分にありえる話です。


けれども、そこで諦めていては会社の飛躍はありません。

大企業に比べると中小企業の商品やサービスは
品揃えから考えても、連立方程式に組み込むべき要素がより少ないはずです。


そして、見る人が見ると、提出された資金繰り表は、

会社がきちんと精査したお金を返せる資金繰り表なのか

とりあえず数字を並べただけのものなのか

はすぐに分ってしまいます。


結果的にどちらの資金繰り表がお金を借りられるか、
言うまでもありませんね。


資金繰り表から始まる財務戦略は会社の土台

最低限月に1度は資金繰りをチェックするPDCAサイクルを回し続けましょう。


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